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2006年06月06日
ノラさん(シロさん)のこと。
職場から、小さな道を挟んだお隣のおうちの庭で、お昼寝をしている白猫の姿に気が付いたのは、確か2月ごろだったと思う。
昼休みになって、職場の2階にあがり、お隣の庭を見下ろすとどこかにいる。最初は庭の隅だったのが、だんだん大胆になってきたのか、そのうちベンチの上で大の字になってたりする姿まで見るようになった。
先日。その猫が運び込まれてきた。飼っているわけでも世話をしているわけでもないノラさんで、触ったこともなかったそうだ。
ノラさんが突然血を吐いたとのこと。庭先でそれを見かけたお隣さんは、夢中でそのノラさんをふん捕まえて、病院に飛び込んできたのだ。
口からの大出血。よくよく観察すると、上口蓋からだくだくと出血している。
なんとか止血をしたが、ものすごい貧血。。。
処置、治療を施していても、回復しはじめるまでの数日は、命が危うい状態だった。原因はよくわからないままだが、恐らく止血機能に異常をきたすような毒物を摂取したのではないかとか、上口蓋に何か刺し傷を作ったか(可能性としては低そう)と思われる。
そうこうしながら約一週間。ノラさんは徐々に元気を取り戻し、ちょっと食べ過ぎじゃないかというほどご飯を食べ、グレーっぽい毛並みも白くなってきて、スタッフの顔を見たらごろごろいいながら頭をすり付けるようになった。
もうそろそろ元の場所に返しても大丈夫ですよー(と言っても、お隣さんはノラさんには寛容なので、追い出したりはしないと思われる)。
ということで、先週末に迎えに来てもらった。
ノラさんをケージから出して、診察室に向かおうとしたら、ノラさんがいきなり暴れはじめ、渾身の力を振り絞って、手を振りほどいた。
そしてダッシュ!
一目散に駆けていくその先は。
自分がいた、元のケージ。
老体なのに、ジャンプも軽やかにケージに飛び込み、自分がベッドにしていた、タオル敷きの箱に入って、「しゃーっ!」
…外よりそこがいいですか。。
かといって、病院に住んでもらうわけにもいかない。結局また捕まえて、お帰し。病院の窓からみていると、お隣さんはノラさんを大事に抱えて運び、自宅の門を入ったところで下ろした模様。
5分ほどして、別の入院している犬を散歩していたスタッフが帰ってきた。入院わんこは病院の裏から出入りをしている。
「今、シロさん(ノラさんの愛称)、病院の裏を走ってましたよー」
……油断したら病院に帰ってきそうな勢いだ。
その後ノラさんの姿を見ることがなく、日曜日の休診日も、当番スタッフは姿を見なかったと言っていた。
それが。今日。
昼休みにふとお隣の庭を見下ろしてみると、ベンチにノラさんの姿が。
スタッフを呼んでみんなで眺める。いいねぇ、気持ちよさそうに寝てるねぇ。
あとになって、スタッフが「シロさーん」と呼んでみたとのことだけど、逃げていっちゃったとか。眼光も鋭く、野性を取り戻した感じだったという感想だった。
まぁそれでも。安心したんだよ。
投稿者 chi : 2006年06月06日 00:02
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コメント
最近シロさんに、おともだちがいることが判明しました。
ずーいぶんお年寄りのはずの、三本足のねこさんです。
のらねこさんが、ひとんちの庭で集会をやっている姿が、なんかほのぼのとしてていいなぁって思う(そのおうちのひとは、のらっちに寛容)。
投稿者 chi : 2006年06月13日 23:44