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2006年06月07日

ぼやき など。(小動物臨床での歯科

 ところでワタクシ、自分の職場での歯科処置は、ほぼ99%くらいの割合で担当するわけです(残りは休んじゃったとか、院長の犬とか親戚の犬とか)。あぁでも、歯科専門ではありません。一般診療が主なオシゴトです。職場もふつーのちっちゃい動物病院だから、年間にやる歯科処置の数も、100に届くか届かないかくらい。あぁでも、麻酔をかけての手術や処置は、基本的には一日1件しか取ってないことを考えると少なくはないのか。

 で、主にわんこの歯石歯周病関連の話。

  トリミングとかで、ついでに歯の表面の歯石を落としてもらってるから、表面もきれいで大丈夫ってー話も聞くけど、犬の歯科で本当に厄介なのは、歯周ポケットとそこに溜まる歯石。そして歯肉や歯槽骨の退縮。これは麻酔をかけないとチェックも難しい。さらに、犬猫はひとよりもエナメル質が薄いとのことで、きちんとした処置でないと、歯石と一緒にエナメル質を剥がすこともあるらしい。

 そんなこんなで、麻酔下での歯科処置をお勧めするわけですょ。

 ところでうちの職場では、数年前から超音波スケーラー単体ではなくて、動物病院での歯医者さんが使うような機械を使うようになった(導入している動物病院はまだまだ少ないと思われる)。これに、けっこう高圧で、エアと水を同時にも別々にも噴出できるヘッドがあって、歯周ポケットの汚れを発見するのにも非常に役に立つ。普通の状態では見えないとこもぴかぴかにできるようになった。

 歯周ポケットの掃除がきれいにできるようになって、何が変わったかというと、処置にかかる時間。特に歯周病がひどくて、ポケットが深くなっている子に関しては、歯の表面だけをきれいにしてときよりも確実に時間がかかる。

 歯石や歯周病がひどくなってる子たちは、シニアさんが多いから、事前検査や当日検査をする。検査結果や持病によっては、導入に使う麻酔薬も、一般の麻酔よりも作用時間が短い(多少高価なもの)を使用する(その後ガス麻酔に移行する)。抜歯をする場合には鎮痛剤も使う。作業中は付近にいろいろが飛び散るから、普通の手術よりも後片づけがたいへんなことになる。歯科用の機械そのものが、エコーやレントゲン機械並の値段がする(いやどれも販売価格には幅がかなりあるとは思うけれど)。

 それでも、処置にかかる費用が高いと思うひともいるらしく。
 初期投資はえらいことになってるんだけどなぁ。。
 超音波スケーラーにマイクロエンジンだけとは、仕上がりが違う(初期投資もかな〜り違う)ってこと、どうやって患者さんにお伝えしていけばいいんだろうなぁ。
 ちっちゃい手術の方が、よっぽど実入りがいいし、らくちんです。えぇ。避妊/去勢の方がよっぽど楽。だいたい若くて元気な子だし。(……そういう理由で、歯科処置をやってない動物病院があるのかなぁと今思い至ってみた)

 そういえば、先月転院してきた高齢ねこさん。主訴は「口が痛くて食べられない」。調べてみたら問題は歯周病(口内炎ではない)。しばらく抗生剤を投与して、落ち着いてきたところで歯科処置をしたので、おそらくもう問題はないと思われる。転院してくる前、もともとかかっていた病院では、口が痛いことについては「もう手遅れ」と言われて、何年も鎮痛/消炎目的で長期ステロイド投与されてただけだったとか。これは痛みだけをコントロールしているだけで、根本的な治療ではない。根本的治療が可能な病気に対して、うわべだけ繕ってる状態にしか見えないわけで(これについては怒り心頭気味なので、クールダウンしたらそのうち書こうと思っている)。

投稿者 chi : 2006年06月07日 23:30

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