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2006年05月21日

本:うまくやるための強化の原理

 カレン・プライア著 (二瓶社)

「犬語の世界へようこそ!」とともにパップスフレンズで購入。

 著者は、生物学博士。ハワイの海洋水族館シーライフパーク創立者のひとり。
 クリッカーを用いたイルカの訓練をはじめ、多種の動物トレーナーでもある。

 犬のしつけや問題行動、行動療法を学んでいると、「強化」ということばは必ず出てくる。
 強化をどのように使うことで、望む行動を引き起こすか。シェイピングとは何か、刺激制御のやり方、考え方などなど、たくさんのヒントに溢れている。また、望ましくない行動をどのようにやめさせるかという、犬と暮らしはじめるととても悩まされる問題についても、たくさんの方法とその考え方、組み合わせ方などが解説されている。また、対象は犬に限らず、人間にも応用できる。

 最初は、仕事に使えないかという観点で読みはじめた。
 読みはじめてしばらくして、自分自身に応用できるのではないかと思いはじめた。もっと読んでいるうちに、自分が意識せずに行っている行動が、自分をコントロールするための方法だということを理解した。取り入れることが可能だろうと思っている。自分の環境のコントロールはそうそううまくはいかないだろうけれど、知識として持っているのと持っていないのでは大きく違うと思う。
 全面的に賛同できたわけではないが、仕事に使うというだけでなく、日常の指南本としてこの本を考えている。

「頭のいい人、悪い人の話し方」なんて本より、こちらがブレイクするべきではなかったろうかと思う。
 …ただ、行動学の用語を全く知らないひとには、この本はちょっと読みづらいものかもしれない。

この本の主旨からはずれるかもしれないが、第5章 実社会における強化 での「動物界における強化」では、鳥肌が立つほど興奮した。言いたいことを伝える術を持てば、人間に言いたいことを伝えてくるいきものは、人間だけではないのだ。

 行動分析や犬猫のしつけの根本に興味のあるひとにはお勧め。

 裏表紙をよくよく見たら、訳者のひとりが、学生時代に動物心理学を習った先生であった(多分)。どっかで見たことのあるようなお名前だと思ったら。あらあら。
 
 この本、うみとの関係をよりよくするには、今から役に立つと思う。
 それにしても、自分の強化は。難しいだろうなぁ。

投稿者 chi : 2006年05月21日 20:38

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