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2006年04月11日
本:神様のボート
神様のボート 江國香織 (新潮文庫)
緩い物語が読みたいと思って手に取った。
骨ごと溶けるような恋をしたママー葉子と、その恋の結果生まれた、草子。
あのひとーパパとの、「必ず探し出す」という約束にすがって生きるママ。一方、かつての夫ー草子にとっては義理の父である桃井先生の、「東京を出ていってくれないか」という言葉に縛られて、各地を転々とする。あのひとのいない場所になじむわけにはいかない。神様のボートに乗ってしまったから。
視点は母娘を行き来しながら、それぞれの一人称で語られる。
その生活を続けている間も、草子は成長する。小学生から、高校生へと。
ママの想いは変わらないまま、生活は変わらないまま。でも、草子は育っていく。変化をしないわけにはいかない。
作者に、狂気の物語と言わしめている一冊だけれども、葉子の気持ちと行動は理解できないわけではない …と思う。物語の最後の最後に触れずに、思ったことを書くのは非常に難しいのだけれども、少なくとも自分にとっては、狂気のものがたりでは、なかった。それでも、 作者の思うつぼにはまってしまった。結末に向かって流れはじめるあたりから、もう目が離せなかった。
緩い物語を読みたいと思って手に取ったのに。
投稿者 chi : 2006年04月11日 00:25
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