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2005年07月21日

本:ナラタージュ

島本理生(角川書店)

 借りた本。
 文体に慣れるまでに50p。
 話半ば、物語上のできごとにより、主人公にまるっきり移入できなくなる。
 それでも読み続けて、一気に読んだ。
 ひっぱりこまれていたのだと思う。
 
 やっぱり帯のアオリって信用できない。と思ったのが第一。
 その後、あれこれと思いを巡らして。
 
「私」に完全に移入できるなら、のめり込んで読めるだろう。そういう意味では、若いひとに支持されるというのはわからなくもない。物語上では姿さえもほとんど出てこない、それでも重要人物にとっての重要人物のことまで考えはじめると、自分にとっては乾燥した物語になる。

 とはいえ。自分として気になったのは話の設定であって、作者がこの若さでこれだけの長さの物語を書き切るのは素晴らしい才能なんだと思う。若いながらの文章のクセが妙に気になったけど、それはこの際仕方がないのかなぁ。
 一方で、書き留めておこうかという文章も、2ヶ所ほど。うんやっぱ、すごいんだと思う。

さてネタばれです。

 前提がどのようなものであっても、奥さんとよりを戻して、それでも好きと言われればそれがウツクシイ思い出になるってーのが理解できないのよ。というか、私に理解できるわけがないのですょ。
 や、実体験を踏まえて〜だけじゃなくてですね。
 自分がハタチのころ、優柔不断をやさしさだと言い切った男に遭遇したことがある。そんなのは自分勝手で残酷なだけだとケンカした。(ケンカしたんじゃなくてほんとは怒鳴りつけたんだけどw)*
 このセンセイのやらかしたことというのは、そういうことじゃないのかしら。
 
「私」から視点を外して、センセイや奥さんの視点からこの話を再構築してみる。
 うーむ。
 多分自分が、この手の「曲がったこと」に嫌悪感を持っているんだな。という結論に行き着いた。
 教え子の弱みにつけ込むような形で寄りかからなければ病んでしまうなら、病んでしまえ。と思う(←センセイの同年代の人間としてだなー)。教え子の一生を曲げるようなことをしでかすんじゃーありません。

 少なくとも、若いころのレンアイは、唯一にはならない。私にとっては。
 というところから違うから、しょーがないのかもしれないが。
 高校生のころ、私にあったのは教師への不信だった。
 というところからして、移入できるわけないじゃん。という気もするが。
 
 …や、自分だって、レンアイのたびに毎回、次のことなんて考えられないくらいにはのめり込んでいるわけですょ。終わったら終わった。って、脳裏から薄れはじめるだけで。(薄れるのが「ものすごい勢いで」ってだけで)

 ところで、ナラタージュということばを知らなくて、さっき初めて辞書を引いた。
 このタイトルだと、もうちっと突き放した書き方をしてもよかったのかな。と思った。
 
 なんだかんだ言ってるけど、ここに書いてある以上のことをたくさんたくさん考えてみたりしたわけで、少なくとも自分にとっては読んで損になるような物語ではなかったのだと思う。
 読み終わって痛かったのは、膝と口のあたり。それが、主人公から少し離れた辺りに気持ちが流れるきっかけになっていたのかもしれないと思ってみる。
 
 
 で、ここを書こうとして初めて書店を見た。
 …そうか、角川か。と思った。(偏見か

* 当時付き合い始めたひとで、自分に思いを寄せている(けど何も言ってこない)おんなのこがいる。それがわかっていたけど、その子のことはそれはそれで置いといて、アナタ(=わし)と付き合い始めたのょとかいう話だった。ような気がする。何がどうなったか忘れたけど、その話のおしりに、優柔不断と優しさをごっちゃにした発言があったもんで、それでキレたのだ。確か。
 こう思い返してみたら、その当時で、キレるほどには親しくなっていたんだな。

投稿者 chi : 2005年07月21日 23:27

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コメント

考え直してみて、どうして主人公に移入できなくなったんだろう? という疑問が湧いた。センセイの事情は彼女にはあんまし関係ない。思うに、気持ちの中にだれかが棲んでいるのに、他のひとと結婚する(生活するということとは別の意味で)というのが ……なのかな。と思った。なんとゆーか、をとめだしw

あぁそれにしても、ひさびさーに読むレンアイ小説は。濃厚ですわ。

投稿者 chi : 2005年07月26日 22:47

気が向いたら、お名前に「@neko」をつけてみてくださいまし。




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