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2006年08月17日

なにができるか。

 寝たきりになりつつあるわんこがいる。
 既に17歳。ご高齢のミックスわんこさん。
 
 体格が小さくはない。こういう子が寝たきりになった状態でうっかりしてると、すぐ褥瘡(床ずれ)ができる。体重はどんどん減っていく。寝たまま排尿することもあるから、被毛は汚れ、皮膚がただれてくる。
 
 それが、このわんこさんは、とてもとても管理がいいのだ。
 
 毛は常にふわふわ。体重は、立って歩いていたころに比べたら格段に落ちてはいるものの、そこからは一定をキープ。排尿に備えてのおむつは、市販のペット用おむつでは勝手が悪いとのことで、おかーさんが、わんこさんの体格と用途にあわせて、改良に改良を重ねていた。
 
 そのおかーさんが、胃にポリープができたから、切除のために入院するとおっしゃったのが、6月の下旬頃だったろうか。
 
 ご主人が退職して、わんこさんのお世話を一緒にしてくれるようになっているものの、何しろ「私がいつもやっていて、主人は慣れてないから不安」だと、ご自身が入院される前は来るたびおっしゃっていた。何かあったら何でも対応しますから安心してくださいねー。と、そのたび答えていたのだけれども。
 
 2週間と聞いた入院の予定が、まだ延びている。
 たまにいらっしゃるご主人には聞けず、わんこさんの具合ばかり聞いていた。

 
 数日前から、昼夜を問わない夜鳴きがはじまったとのことで、ご主人が疲れ切って、わんこさんを連れてこられた。わんこさんは年の割に認知症はそれほどでもない(というか、白くなった目でも、こちらを確認しようとするのだから、それほどぼんやりしているわけではない)けれど、何を要求して鳴いているのか判らない。
 
 わんことふたりきり。
 老犬は夜中も朝方も鳴き続ける。何を要求しているか判らないおとーさんは、何をしてあげられるわけでもなく、寝るにも寝られず。
 途方に暮れる。
 眠れないのは、非常に強いストレスになる。
 
 おかーさんが入院している間も、わんこさんはきれいに保たれ、しっかり介護してもらっているようで、体重も全然落ちてない。
 これだけの看護をひとりでするのが、どれだけ大変なことか。
 
 すぐにわんこさんをお預かりする用意をした。
 
 わんこさんをお預かりするとき、おとーさんが静かに、おかーさんが週末に一時帰宅できそうだから、そのときには元気な状態のわんこと一目会わせたい、と、おっしゃった。
 
 おかーさん、よほど悪いのか。
 入院前から、とてもとてもわんこさんのことを心配していた。きっと今も、病床でわんこさんのことを気にしているんだろう。

 わんこさんは、もともとおうちのひとにも自由に触らせないような性格だった。
 年をとって自由が利かなくなったから、思う存分さわれるようになったんですよー と、嬉しそうに言ってたおかーさん。
 おむつの改良に、どんな工夫があるか、ものすごく熱く語ってくれたおかーさん。
 
 元気なわんこさんに会って、改めて治療に専念してほしい。
 
 おとーさんは、おかーさんの心配をして、病院に通って看護して。おうちでは、わんこのお世話や介護をして、自分の面倒も見て。会社勤めのころにはあまり思いもしなかった類いの「たいへん」のさなかにいるのだと思う。
 体の自由の利かないわんこさんとふたりきりで暮らすストレスを軽減してあげたい。介護がストレスにならないように、少しでも楽にお世話が出来るように考えたい。
 
 
 どれだけの手助けが出来るだろう。
 いまそのことを考えている。
 
 あとは祈るばかり。

投稿者 chi : 2006年08月17日 00:36

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