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2006年06月26日
本:怪盗ニック登場(他2冊:シリーズ)
エドワード・D. ホック (ハヤカワミステリ文庫)
「怪盗ニックを盗め」
「怪盗ニックの事件簿」
の3冊。短編集。(借りた本)
ニック・ヴェルヴェットの「仕事」は盗み。自分のための盗みではない。報酬は2万ドル。依頼を承諾するのは、対象が価値のないものに限る。もちろん現金や宝石その他の値の張るものはお断り。
仕事の依頼は不意に舞い込んでくる。その対象は、変わったものもあれば、ありきたりすぎるようなものも。ただし、2万ドルの報酬を払うとなると、依頼主はやっぱり何か思うところがあるわけで…。
依頼の裏には裏があることも。依頼を受ける泥棒だからこそ事件のど真ん中にいるハメになってしまうニックは、「報酬が無事支払われるか」と、自分自身が裏をかかれないように(かかれることもあるんだけど)、依頼について考えをめぐらせる。ニックそれじゃ探偵業もきっとできるよってお手並みも見せてくれる。短編それぞれが、冒険小説のようだったり、古典的推理小説のようだったり、いろいろな味付けが楽しめる。主人公が泥棒稼業ということで、暴力沙汰やすれすれに巻き込まれることもあるけれど、いやな気分になるような書き方はされてないから安心して読める。
盗みそのものばかりではなく、仕事に付随する事件や人間性も見えてくるのが面白い。報酬の支払いにこだわっているかと思うと、人情味あふれる判断をしたりするニックも魅力的。
ところでこの主人公、同居の“恋人”グロリアには仕事内容はずーっと伏せたままだった。それ以外についてはニックはグロリアに忠実だったからこそ、 …… ごほごほごほ。
いやぁ、なかなかいい感じですょ。
訳に慣れるまで、1冊目の1作目の序盤を何度か読んでいたが、慣れたら、体調不良〜とか言いつつも、 3冊一気に読んでしまった。このシリーズは翻訳されてない作品がまだまだあるらしい。翻訳されないかなーっ。
投稿者 chi : 2006年06月26日 01:34
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