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2005年10月09日

本:生きて死ぬ智慧

生きて死ぬ智慧
柳澤 桂子 (著), 堀 文子 (イラスト) (小学館)

 メディアで取り上げられていたのを母親が見かけたらしく、ぼんやりとしたキーワードから探し当てた本なのでした。

 生命科学者であり、30年以上も病人である著者が、般若心経を化学的に解釈した本。この病気で、一ヶ月に2週間しか動けず、研究を諦めざるを得なくなったとのことです。長らく原因不明で、医者からは長らく心因性のものだと言われ続け、故に家族からも責められ、自分で自身を責めて生きてきたのだそうです。その後原因がわかり治療がはじまったものの、他の病気も見つかって、現在再び治療中なのだそうです。
 著者は現在、60代後半に足がかかったところで、私の母親と同世代になります。
 
 般若心経の解釈は、特に細部に至っては、研究者によってもそれぞれなようです。この著者は科学者の目から解釈をします。原子を起点としたものの捉え方は、常人にはなかなか理解し難いものがありますが、このような考え方もあるのだという参考になります。
 
 作りは絵本のようであり、後半にある般若心経そのものとそのままの解釈も合わせて、ただ読むだけならあっという間に読めてしまいます。
 私自身は全く別のひとが書いた般若心経の本をぼけぼけと少しずつ読み進めていたところだったので、ワンクッションあったような感覚ですが、それでもこの本はさらりと読み流せるものではないのです。この本が般若心経の解釈との初めての出会いで、読むことでのインプットだけを求めるひとには、とてもとても物足りない本なのではないかと思います。
 
 そういう内容ではないのですが、「空」を科学的に考えることも可能である という解釈の一端を、とても面白く感じました。
 
 なんのこっちゃと思われる向きには、あとがきを一読してみることをお勧めします。

投稿者 chi : 2005年10月09日 22:34

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