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2005年08月07日

本:月は無慈悲な夜の女王

ハインライン(ハヤカワSF文庫)

 以前から読みたいー と思っていた、ハインラインの長編。ヒューゴー賞受賞作。
 タイトルは最後まで読み切っても実を言うと理解できず、解説を読んでようやく納得できるという…。

 月は地球の流刑地であり、小麦の生産地としての植民地という時代。特産(?)である小麦も安く買い付けられ、そのうえ地球による圧政に苦しんでいる。その月世界人の3代目、コンピューター技師(でいいのかな?)のマヌエルが主人公。月世界行政府政庁の計算機室というところにいって、月世界を管理する計算機を直したりもする。そこで、そこの計算機と友達になる。なんたって、その計算機は自意識を持っている。…そして急速に彼(=マイク)の自意識は成長しはじめる。どの笑い話が面白いかも追及せずにはいられないほどにw
 マイクに頼まれて、マヌエルはある集会に潜り込む。そこで行われていたのは、革命を前提とした集会。そこへ行政側の長官の護衛兵がなだれこみ、死者を出す騒ぎになる。集会で再会した友人を護衛兵に殺されたマヌエルは、マイクと共に革命に巻き込まれ…… (巻き込まれるというか、なんというか)

 最初はくだらないジョークひとつひとつにこだわるマイクが、革命という現実に対峙して、もうひとつの人格も形成させながら、ものすごい勢いで成長していくのも面白い。一方で、月という、地球とは比べ物にならない特殊な環境で、育っている文化、ものの考え方も面白い。圧倒的に女性が少ないことによる家庭と結婚の在り方、法律が存在しないこと、1/6Gでの戦い方、などなど。ひとつひとつを掘り下げていくと矛盾がでるのかもしれないし、政治的な考え方も多くて、小難しい部分も多々出てくるのだけれど、キャラクターや物語に引っ張られていって、そんなこと気にならない。
 そして最後は、なんだか切ない。(ぅぅ、さすがハインライン。

 何よりも、この物語が書かれたのが1966年に書かれたというのがすごい。と思う。舞台は2076年で、お話の中ではプログラムの保存にメディアみたいなものを使わず、延々紙でプリントアウトしちゃったりするけど、それでも、これが60年代に書かれた物語だと思うと。うわぁ。 

 某所で他の本と平行しつつ読んでると書いたけど、そんなこと全然気にならないほど、「本を開いたらあっという間にその世界に浸る」ことのできる物語だった。
 SF熱が、再燃するかも。な予感。

 ところで。 
 ついさっき、本屋さんで付けてくれたカバーが外れて、初めて表紙を見た(買う時に表紙を見てないw)わけですが。なんか、怖いですよコレw。しかも、描く前に内容を読んでないんじゃ…。
 もうひとつ。21刷にしては誤植多すぎな感じ(登場人物の間違い含め、3〜4個所ありましたわょ)

投稿者 chi : 2005年08月07日 00:59

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コメント

読んだのが10年ぐらい前だったので、内容的に覚えているのが
「タンスターフル(何の略だったかながすぎておぼえられない)」
ぐらいのもので、あーそういやぁ、マイクってコンピューターが
でてきたなー、とこれを読んで思い出したり。

この頃のハヤ●ワSFってコワイ表紙多いかも~(笑)

この世界のなかの社会構造に関しましては、時代を感じつつも
難しくて深く考察せずに過ぎておりますです。。。あはは。
「異星の客」も同じく。。。。

投稿者 まるちか@すちゃ : 2005年08月08日 09:43

>まるちかさん〜
10年くらい前に読んだSFを覚えているのは素晴らしいですよ!w
たんすたーふる は、「無料の昼飯はない」を和英翻訳すると出てくるかもしれません(本文が多すぎてどこにあるか発見できなかった模様)

私は古典と言われるSFの方が好きなのですが、昔の表紙も今風(というのか)に装丁し直されているようで、それはちょっといやんな感じです…

ハインラインは、読みはじめて間もなく、ものすごく暗い話を読んだことがあって、それ以来読んでなかったんですよねぇ。もちっと追っかけてみようと思ったりして。…ついでに、夏への扉ももっかい読んでみるかしらとか。

投稿者 chi : 2005年08月08日 22:52

なつかしーです。
読んだのは10年どころか....20年くらい前かも。
つーことで、内容はちっとも覚えていなかったり。

ハインライン乱読の時期だったので、いろんな本が
頭の中で混ざっています(汗)。
ほとんど手放しちゃったしー、また読んでみるかなぁ。
「夏への扉」だけ手放さないで持っていますけど。

投稿者 shocha : 2005年08月09日 08:17

>shocha
おぉ。shochaもこの辺の畑をご存じでしたかー(^^)

私は、その後ホーガンとかクラークとかディックとかブラウンとかに流れていってしまい… て、どのひとも全部は読んでないんですがw

「夏への扉」は名作との声が多いだけに、読んでるひとも多いですねぇ。

投稿者 chi : 2005年08月09日 23:28

夏への扉、私も手元に置いています。結婚してからの引越しの時に実家に
もって行ったか処分したか、とにかく姿が見えなくなったので、何年か前に
新しいの買って持ってます。

ピートが夏を探すくだりが好き。

投稿者 まるちか : 2005年08月11日 09:55

>まるちかさん
好きな本って手元に置きたいですよねー。
私も、実家にハードカバーがありながら、自分ちに文庫本を持ってたり なんてこともあります。

ところで、誤植のおしらせメールを早川書房宛にしていたのですが、お返事が来ました。やぁ、お返事いただいて、メールを出してたことを思い出したんですが。登場人物の誤植は、重版時に訂正されるそうです。よかたよかた。(て、初版からずいぶん経ってるんだってばょw)

投稿者 chi : 2005年08月17日 21:48

気が向いたら、お名前に「@neko」をつけてみてくださいまし。




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