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2005年05月13日

本:彼女は、なぜ人を殺したか

福島章(講談社+α文庫)

「精神鑑定」の方法を、その第一人者が明らかにする。
 裏表紙にこんな感じのことが書いてあった。表紙には著者の名前の脇に「精神鑑定医の証言」とあったので、てっきりすっかりノンフィクションだと思いこみ、確認せずに購入したら、フィクションだった。
 
 うーん。(ネタばれしますよ)

 著者の意図と、煽り文句が合ってない。これは物語であって、現実ではない。現実味がないということではなくて、精神鑑定を考えるうえでは無関係なエピソードが、物語だからこそ含まれている。それが、単純に精神鑑定に興味を持って、この本を手に取った読者にとっては邪魔になる。…と思う。精神鑑定がどういうプロセスで行われるのかという目安にはなるけれど、フィクションだと謳っているので、本来の過程が描かれているのかどうかはわからない。精神鑑定医と学生の恋愛沙汰に至っては、被告の生き方に影響されたという理由付けはあるものの、印象としては“無理やり”。挿入する意味はないように思えた。
 もう一点。視点は、精神鑑定医と、被告の間を行き来する。
 精神鑑定医であることが(読者にとって)明確である著者が、被告の一人称(しかも女性)で物語るのは、ちーと無理があるように思う。

 一方、鑑定とはまた別の話になるのだろうが、男性の脳と女性の脳の発生学的な違いからくる性質の違いについてのエピソードなどは、非常に興味深く読めた。
 
 他にも著書があるようなので、また手に取る機会があれば、今度は確認してから読んでみたい。
 精神鑑定に興味があったのではなくて、古本屋さんで目に付いたってーのが理由なので、また手に取ることがあるかどうかはわからないのだけれど。

投稿者 chi : 2005年05月13日 22:20

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