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2006年07月10日

本:あかね空

 山本一力 (文藝春秋)

 ひさーしぶりの時代小説。借りた本。
 今までは、事件なり何なりのできごとを扱った物語を多く読んでいた。
 これは違う。京から江戸へ単身下ってきた豆腐職人と、その子供たちやその周りの生き様のものがたり。

 越してきた長屋での暮らしや折り合い。そもそも上方と江戸では豆腐そのものが違うという大きな壁。まわりを取り囲むひとびと。暮らしや思いが交錯し、一方で、成長や環境の変化によって変わっていく主要人物や、家族や夫婦、兄弟さえもわかりあえないもどかしさが募る。

 人情時代小説というものになるらしい。賞には疎いせいもあって、直木賞受賞作であることも知らなかった。おそらく自分自身では手に取らなかった本。紹介してもらって感謝している。夜中に手に取ったにも関わらず、一気に読んだ。

 中盤、家族にしろ取り巻く策略にしろ、どろどろとした面も出てくる。個々人に視点を移すことで、それぞれが何を思ってどのように生きていたのか、どのような誤解があったのか、徐々に見えてくる。

 読後は泣けて泣けて仕方なかった。
 
 勘違いや誤解を残したままで死んで、取りなしてくれるひとがいるとは限らない。いつ死ぬのが判らないのが人生でもある。大事なひとを大事にして、素直に生きていくに越したことはないと思う。

投稿者 chi : 2006年07月10日 00:26

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