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本:「奇跡の脳」

11月 4th, 2012

けっこう話題になってるそうなのだが、
全然知らなかったんである。

内容に関することはともかく、
脳に興味があるひと
脳卒中になったひとが身の回りにいるひと
脳卒中になるリスクが高いと感じるひと
は、必読だと思う。

私はもともと脳に興味が(ふつーのひととして)あったので
読むことにしたのだけれど、
読む前の期待を大きく越えた1冊だった。

4105059319奇跡の脳ジル・ボルト テイラー Jill Bolte Taylor
新潮社 2009-02

by G-Tools


 *

37歳の脳神経科学者が、脳卒中に見舞われる。

このひとの場合は、脳内の血管の奇形(発見されていなかった)により、
脳内に出血が起きる。とはいえ、それが脳卒中なのには変わりない。

当の本人も当初は何が起きたかわからない。
その、脳卒中が起きた朝。頭痛だけにしては何かがおかしい。
出血が広がることで、異変は広がり、変化する。
それらが克明に記録されている。

文字が、言葉が、認識できなくなる。
わかっても、発声ができない。コミュニケーションが取れない。

形や奥行きが、わからなくなる。
自分の体の境界も認識できなくなる。

脳がどのように「認識」をしているのか、
そんなことを、この本を読むまで考えたことがなかった。

「左脳」がどのような働きをするのか、
「左脳」の制約から放たれた「右脳」は、どのような認識をするのか。
患者側の視点で、しかも、脳科学者として書かれている。

そして長年をかけた回復がどのように行われたのか。
脳卒中の患者には、どのように接するべきなのか。
脳卒中の患者は、どのように外界を認識しているのか。

長い目で接する必要性
長い目で経過を見る必要性
それらも切々と訴えかけられる。

著者は、8年をかけて回復した。
時間をかけて、諦めずにトライし続ければ、
長くかかっても回復できるという証でもある。

  *

脳に関するわかりやすい解説もついていて、
これまで脳科学に興味がなかったひとにも
わかりやすくなっていると思う。

実を言うとハードカバーを友達に借りて読んだのだけど、
これは手元に持っておきたいと思ったのだった。
文庫も出ているらしいので、そのうち購入しようと思っている。

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